私が湖水地方のフットパスウォーキングを楽しめるようになったのはこのアプリを使ったから。

Tips for Walkers

イギリス人は歩くのが好きと言われます。しかしイギリスは歩くと楽しいところが多い国なのだというのが正しい答えなのでしょう。私がロンドンに4年間住んでいた時は、週末となるとロンドンの街中や近郊を歩き回る日々でした。ロンドンは賑やかな街の繁華街のすぐ裏には落ち着いた住宅地があり、ちょっとコースを変えて歩くだけで全く違った街の顔を見せてくれます。またロンドン市内の住宅地のところどころに家と家の間を抜ける秘密の通路の様な狭いフットパスがあり、そういう道を通るときはちょっとドキドキしながら歩いていたものでした。
昨年湖水地方に赴任しましたが、湖水地方のフットパスは想像以上に素晴らしく、『イギリスで一番美しい風景』と呼ばれるだけの事はあると納得するものでした。
ロンドンでも湖水地方でも週末になると散歩するイギリス人を多く見かけますが、イギリスはどの街にもウォーキングを楽しめる環境が整備されています。この環境にいたらイギリス人じゃなくてもウォーキングしたくなるに違いありません。それぞれの街ごとに違うウォーキングの楽しみ方を経験するためだけにでも、イギリスの色々な街を訪ねるのは楽しいものです。

湖水地方のウォーキングは、ロンドンとは比べ物にはならないくらい素敵なものでした。しかしロンドンと違いフットパスがほとんどグーグルマップでは出て来ないのでガイドブックに頼るしかありませんでした。観光地ですからガイドマップは豊富ですし、ガイドブックを使えばフットパスのウォーキングは出来ましたが、だんだんガイドブックに頼るのでは楽しめない事に気づいていきました。

そんなときに、トレイルランニングが大好きなInov-8社の社員からあるアプリを教えてもらいましたが、そのアプリを使い始めてからというものフットパスの楽しみ方が劇的に変わりました。ここではなぜ私がガイドブックでは楽しめなかったか、そしてどういうアプリで楽しめる様になったのかについてご説明します。

ロンドンではグーグルマップ最強だったのに、、、

妻に教わったロンドン散歩の楽しみ方

私がロンドンに赴任していたのはロンドンオリンピックが始まった2012年7月から2016年4月。家族は子供の学校の関係で日本に残っていたので、気楽な単身赴任生活を楽しんでいました。妻はロンドンが好きだったので年に何度かはロンドンに来て、私が仕事に行っている間に一人でロンドンの街を楽しんでいたのですが、その妻の楽しみ方がユニーク。バスに乗ってとにかく終点まで行きそこからふらふらと歩いて戻りながら帰れなければまたバスを探して帰ってくるというとても観光客の行動パターンとは思えない楽しみ方。話を聞くといろいろと変わる街の風景が楽しいからとの事。面白そうだったので私も妻と同じようにふらふらとコースを決めずに週末歩き始めましたが、これが本当に面白いものでした。不思議な建物の間の通路をや静かな林の中の散歩道。リスが寄ってくる公園の小道を進んだ先は豪華な邸宅の前を流れる川沿いの道。そういう道は全てグーグルマップに載っているので、ふらっと歩いた先で見つけた道に入り込んでも迷う事は全く無く、いざとなったら帰り路を教えてくれるグーグルマップを頼りにロンドンのウォーキングを楽しんでいました。

湖水地方ではグーグルマップが全く役に立たない。

昨年湖水地方に赴任したのはちょうど季節の良い春。縦横無尽に走るフットパスを歩くと湖水地方の見事な自然の風景を楽しむことが出来ましたが、一つ問題がありました。ロンドンと違い湖水地方ではグーグルマップの上にはフットパスがほとんど表示されないのです。

その為、まず最初はツーリストセンターに行くと置いてある無料のガイドマップを頼りにフットパスのウォーキングを始めました。湖水地方ではどこの街に行ってもツーリストセンターでその近辺の無料のガイドマップが手に入るので、それを頼りに湖水地方のフットパスウォーキングを始めましたがすぐに不満を感じるようになってきました

ガイドマップはそのコースを間違いなく歩けるように、道が分岐するポイントでどの方向に行けば良いか描写しているので、注意して歩けば何とかそのコースは歩けます。ただ地図があまりに簡易版で、説明文が小さいので読みづらい上、風景に気を取られていると曲がるところを気づかすに進んでしまう事が良くあったので決して簡単ではありません。しかしそれ以上に大きな問題なのは、湖水地方は四方八方にフットパスが広がっているので、そのガイドマップのコース以外にもいくらでも選択肢があること。

その為2方向・3方向に道が分かれる事を指し示すフットパスの標識がコースの途中に何度も出てきます。しかしそれを目の前にしても、ガイドブックが指示する方向以外に行くとどこにたどり着くのか全くわかりません。面白そうな道なので行ってみようと何回か挑戦しましたが、山の中で道に迷い目的地とは違うところにたどり着く体験を何度かすると、さすがに慎重になります。特に夕方だんだん日が暮れてくるのに自分が歩いている道がどこに向かっているかわからないような時はちょっと冷や汗もの。ロンドンでグーグルマップを頼りにして気ままに散歩をする楽しさを覚えた私には、決まったコースを歩くだけのウォーキングには物足りなさを感じる様になってきました。

OS Mapsがあれば、フットパスは迷わず歩ける。

そんなある日Inov-8社の社員がトレイルランニングやハイキングの為の地図の読み方を教えるというイベントがあったので参加しました。そこで彼女が使っていたのはOS Explorerという地図。その地図と方位磁石を使って、イギリスの山野をどうやれば迷わずに歩けるかを教えてくれました。同時に彼女から教わったのは同じ情報がOS Mapsというスマホアプリに載っているとの事。

山登りやクロスカントリーをやる人から見れば、紙の地図と磁石を使わずスマホアプリに頼るなどというのはあり得ない行為なのかもしれませんが、私はただウォーキングがしたいだけ。
とりあえず紙の地図と磁石で迷わず歩く方法は勉強させてもらいましたが、私はすぐにスマホアプリを試してみました。

OS MapsはアンドロイドにもiPhoneにもアプリがあり、PCではさらに拡張された機能が使えます。紙のOS Exploereの地図を買うと、湖水地方の南東部だけの地図で8.99ポンドしますが、イギリス全土の地図が載っているOS Mapsの契約は月わずか3.99ポンド(約550円)。しかもただ単に地図が見えるだけでは無く、グーグルマップの様にその地図上で自分の居るところがわかるというので、私は迷わずに有償版を選びましたが大正解。もう2度とフットパスで迷う事は無く、イギリス中のフットパスを自由に歩けるようになりました。

このOS Mapsを使っていろいろなコースを歩き回ったのでこのブログが作れるようになりました。実はこのブログで一番紹介したかったのもこのOS Mapsというアプリケーションの使い方。イギリスの地方に行くなら絶対のお勧めです。

OS Mapsとは。

OS MapsとGoogle Mapの情報の差

まずはOS MapsとGoogle Mapの情報量の差を見てください。ウィンダミア駅の裏の山、オレストヘッドの周辺をPCのOS Maps とGoogle Mapで見た地図を並べますが、一目瞭然。出てくる情報量が全く違います

Google Map

OS Maps (有償版 OS Leisure Map)

OS Mapsで解ること。

それではOS Mapsで出てくる情報についてご紹介します。
OS Mapsではフットパスウォーキングや山登りに必要な情報が全て載っています。人が歩く事が出来る道・フットパスだけでは無く、牧草地を囲う石の壁、建物や小屋、標高線や山頂の場所と言ったルート判断に必要な情報だけで無く、見晴らしの良いView Pointまで載っているのでフットパスウォーキングには最適。具体的な見方を以下に説明します。

この地図に多く載っている赤い道、黄色い道、白い道はグーグルマップにも載っている通常の道。道の車線の数や幅によって色が違っています。

グーグルマップに載っていなくてOS Mapsでしか見る事が出来ないのがこの地図に多く載っているような情報。

  • 緑の太い点線がパブリックフットパスとして公式に歩行者が歩いて良いと認められている道。
  • オレンジの太い点線は土地所有者ががそこを歩行者が歩く事を認めている道
  • 黒い細い点線は私道。歩くことは可能だが正式に土地所有者が認めたわけでは無い道。

それらの歩行者が歩くことが出来る道だけで無く、OS Mapsの地図からは以下の情報も得られます。

  • オレンジの太い線で囲まれた一帯がCRoW Act2000というイギリスの法律で指定された、山頂や荒野で歩行者が歩くことを認められている一帯。内側が緑色の一帯は林、白い一帯は草原。
  • 黒い細い実線は羊や牛を囲う為に作られている石の壁や木の柵
  • オレンジの細い線は等高線
  • 小さな四角は家や小屋
  • 水色の放射型のマークは見晴らしの良いビューポイント

スマートフォンで使えば地図の上で自分の居る場所も表示されるので、周りの風景(山頂や石の壁、家や小屋)と自分の居る場所の位置関係で迷う事無く自分の進むべき方向を選ぶ事が出来ます。

OS Mapsを知る前はグーグルマップだけで歩いていたので、OS Mapsを使うようになってどれだけ楽になったか良く解ってもらえると思います。OS Mapsの中のそれぞれの記号の意味がわかれば、もうフットパスで迷う事はありません。

実際の写真と地図を見比べてみます。

ボーネス オン ウィンダミアの裏の山のフットパス。フットパスが四方八方に広がっているので、正しい道を歩くのが難しい一帯です。この写真は赤い星の場所から黄色い矢印方向で撮った写真。石の壁や木の柵を超えて道が2方向に分かれているのが良くわかると思います。

次はウィンダミアの駅の裏の山、オレストヘッドから駅に戻らず逆の方向に行く道。山頂の一帯はCRoW Act2000で認められた一帯なので、草が生えた斜面のどこを降りても良い場所。その先で道が2つに分かれます。この写真は地図の赤い星印の場所から黄色い矢印の方向に撮った写真です。石の壁を越えてフットパスが2つの方向に分かれているのが良く解ると思います。

事前にコースを設定しておき、スマホのダウンロードしておけば、コース図がOS Maps上に現れます。ウィンダミアのウォーキングコースの説明の記事で書いたコースは、スマホのOS Mapsの上ではこの様な赤い線で見え、自分が居るところは赤い矢印で解ります。例えばこの場合、ちょっとルートから外れてますね。

その場合は地図をズームしていくと、自分の周りの様子がわかります。この場合だと、一つ手前のフットパスの二股で間違った方向に来てしまっています。正しいルートに行くためには石の壁を超えていけば早く着きますが、今自分が居るところはフットパス以外を歩いてはいけないエリアですので、間違えたところまで戻っていく必要があります。
こういった確認が電波が届かない場所でも出来るので安心です。

このように、道が分かれた場所でどちらに歩いて良いかわかるというメリットに加え、歩いてはいけないところもわかるのもとても便利。
フットパスがあったとしても、CRoW Act 2000で指定されていないエリアはフットパスから外れて歩くことは基本禁止です。OS Mapsのオレンジの帯で囲まれているエリアの中だったらフットパスを外れても問題はありませんが、そうで無い場所はフットパス以外の場所は歩いてはいけないのですが、これもグーグルマップではわかりません。

有償版のメリットは?

無償版でも有償版と同じような情報は見る事は可能。

上で説明したようなフットパスの情報、石の壁の情報、歩行者が歩いて良い一帯の情報などは無償版でも見る事は出来ます。まずは無償版と有償版の地図を見比べてください。

左の有償版で見えるフットパスの緑やオレンジの点線と同じ場所に右の無償版では細い黒い点線があることがわかると思います。どちらの地図にも石の壁を示す細い黒い実線が載っています。このように無償版にも同じような情報は載っており、フットパスを歩く為の最低限必要な情報は無償版でも提供されています。

若い人の場合地図を見るだけだったら無償版でも問題ないかもしれませんね。ただ多少老眼気味の私の場合、無償版の地図をスマホで見てもフットパスと石の壁を見分けられないので、有償版で無いと地図として役に立ちません。

スマホの電波が繋がらない時でも地図が使えるのは有償版だけ。

しかし湖水地方に旅行で行く方の場合絶対に有償版にする事を絶対にお勧めします。無償版には無く有償版にしかない機能の一つが、事前に自分が歩く地図や歩くコースをスマホにダウンロードしておくことが出来るオフライン機能。実際にウォーキングに行く前に自分が行く場所をスマホにダウンロードしておけば、山の中の電波が届かないところでも地図が使えます。海外からの旅行者の場合はWi-Fiルーターを使わなくても地図が使えるというのも大きなメリットですね。

有償版のArial 3Dを使えば旅行の前も旅行の後も楽しめる。

有償版にはArial 3Dという、グーグルアースのように空中から見る機能が付いてきます。
OS Mapsはウォーキングのコースに必要な情報を見る地図からそのまま3Dで空中から周りの風景を確認する事が出来る、実際にウォーキングルートを計画する時に使うととても便利です。実際に私が地図の上で動かした動画を見てもらうとイメージがわかると思います。

動画はいかがでしたか?地図で歩くルートを考えながら空中から鳥の視線で回りを確認する事が出来れば、ウォーキングルートの事前調査は完璧。自分が歩いたルートはOS Mapsの上に登録する事が出来るので、旅行に行った後で自分が歩いたコースを見直す事も出来ますが、自分が歩いたコースの周りにはこんな風景があったのかと、旅の記憶を更に深めてくれます。

OS MapsのPC版、アンドロイド版、iPhone版へのリンクを下に貼り付けておくので、お試しください。有償版も7日間は無料で使えるので、3D動画は自分でやってみるとその面白さはわかってもらえると思います。(ただし、7日過ぎると課金が始まってしまうのでご注意ください。)

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以上、私がOS Mapsを使うようになるまでの経緯と、OS Mapsの地図では何がわかるかを簡単に説明させてもらいました。OS Mapsはここで書いた機能以外にも色々と使えますので、それは今後情報をまとめます。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
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