Inov-8の靴は種類もサイズも色々。ウォーキングやランニングに使う靴の選び方をお教えします。

Goods for Walkers

前回の記事『ランニングが嫌いなおじさんが、トレイルランニングの靴を愛用する理由』を出した後、どこでInov-8(イノヴェイト)の靴を買えば良いかのお問い合わせを何件か受けました。ただその時に返事で困ったのが、Inov-8のどの靴選べば良いかを伝えるのにちょっと手間取ったこと。一番最初にお伝えしたのは、Inov-8の靴は普通日本で買う靴のサイズよりワンサイズからツーサイズ大きいサイズのものを選ぶと良いですよ、という話。ただそれだけで無くInov-8の靴は商品によって靴の幅 – フィット(Fit)が全然違い、スポーツの目的に合わせてアウトソール(靴底)も全く違うので、それを理解していないと何を買っていいのかわかりにくい商品です。

ホームページもトレイルランニングやクロスフィットといったニッチで特殊なスポーツをやる人をメインターゲットに作られているので、ドロドロの地面を走っていたり、険しい山を登っていたり、激しいジムの動きをしていたりと、一般人が普通のウォーキングやランニングで使えるような商品には見えません。この記事では普通のウォーキング・ジョギング・ランニングをやるような方が自分に合った靴を選べるように、Inov-8にはどういう靴がありどういう特徴があるのかを整理してお伝えしたいと思います。

『ランニングが嫌いなおじさんが、トレイルランニングの靴を愛用する理由』にも書いたように、私は最初は自分には全く関係ない靴だと思っていました。正直ホームページを見てもあまり一般人が買うような靴には見えませんよね。一部の靴は特殊な用途で使うものですが、大半の靴は普通のウォーキングやランニング、日常使いの街歩きの靴としてとても快適に使えるものですので、商品の違いや選び方についてご説明します。

Inov-8の靴って、どんな靴?

Inov-8の靴はどんなスポーツの為に作られているのか?

Inov-8はトレイルランニングで有名になった会社ですが、同時にクロスフィットやトレーニングの靴としても知られています。イギリスのInov-8社のホームページを見ると、靴の使用用途はRun/Gym/Hikeの3つに分けて説明されており、RunやGymは更に細かいカテゴリーに分かれているので、全部で10の使用用途で商品を分類しています。

Runは5つのカテゴリー。

  • ごつごつした岩場の多い山野を走るHard & Rocky
  • ぬかるんだ柔らかい地面の山野を走るSoft & Muddy
  • 手入れされた穏やかな山野の道を走るPath & Trail
  • 舗装された道を走る Road
  • 雪や氷で覆われた地面を走る Snow & Ice

Gymは4つのカテゴリー。

  • トレイニング全般で使えるVersatility
  • ウェイトリフティング用途のLifting
  • 素足感覚の Natural
  • 有酸素運動向けの Cardio

そしてハイキング用途の Hike

Inov-8の靴は全部で13種類。商品名で大体の機能がわかる。

この様に10種類の使用シーンに分けて靴を分類していますが、一方靴の種類を見てみると、イギリスのホームページには12種類、日本のホームページには13種類の商品のシリーズがあります。Inov-8の靴はシリーズごとにその使用用途に合わせたアウトソールの形が大体決まっていますので、その13種類がどういう使用用途に準備されどのようなアウトソールの形状なのかをまとめたのが下の表です。

この様に、それぞれのシリーズが大体どういう使用用途に適しており、どういうアウトソールが付いているのかはシリーズ名でわかります。そしてそれぞれのシリーズにも機能が違う数種類の靴が準備されていますが、Inov-8の商品は商品名を見れば大体の機能がわかります。

商品名の最初が靴のシリーズ名
次にGという文字があればグラフェンを使用したアウトソール、G-Gripを使っているという事。
その次の数字が靴の重さ(グラム)。
最後にGTXという文字が付いていれば、その商品はゴアテックスを使った防水シューズ。
V2/V3といった文字が付いていれば定番商品の新しいバージョンという事になります。

この様に、Inov-8が商品として訴求しているメインの機能はほぼ商品名からわかります。Inov-8の商品の一番の特徴の柔軟性が高くグリップ力の高いアウトソールも用途によっていくつもの形がありますが、それぞれのシリーズ名をみればどういうアウトソールなのかわかります。又、もう一つの特徴の靴の軽さは、商品名を見れば一目で重さがわかるようになっています。グラフェンを使ったアウトソールかどうか、ゴアテックスを使った防水かどうかという重要な機能も商品名から判断できます。

Inov-8の靴は、持ってみるとまずその軽さにびっくりしますが、靴の底を曲げてみるととても柔らかく曲がる事にも驚きます。そういう商品のメインの特徴を商品名だけである程度わかるように工夫されています。

Inov-8の靴は幅(フィット)や前後の高さの差(ドロップ)のバリエーションも豊富。

商品のメインの機能は上述のように商品名でわかりますが、これだけではわからないのが靴の幅(フィット)や前後の高さの差(ドロップ)。スポーツの用途に合わせて準備されているのですが、シリーズによってかなり差があります。

Inov-8の日本のホームページより

靴の幅(フィット)は靴の幅に合わせ1から5までの5段階。厳しい斜面を上り下りするトレイルランニング用途には幅が狭いものが準備されていますが、手入れされた穏やかなコースやジム用途では幅広の靴が準備されています。

Inov-8の靴の一つの特徴が、踵からくるぶしの部分をきっちりとホールドしてくれる安心感。幅の広い靴を履いても、踵からくるぶしの部分はしっかりとホールドしてくれながら足のつま先部分がゆったりとしています。靴の中で足がふらふらと左右に動くことが無く、逆に足の指が歩くごとに広がるように感じるフィット5の靴は私はお気に入りの靴です。

靴の前後の高さの差(ドロップ)は大きくわけて3種類。前後の高さの差が無く足首の稼働を最大にしたはだし感覚の自然な走り方が出来るゼロドロップ(0MM DROP)からふくらはぎやアキレス腱に対する負荷をやわらげ楽に走ることが出来る6MM/8MM Drop。そしてその中間の3MM/6MM Dropとランナーの好みに合わせて準備されており、靴のかかと部分にある矢印の数を見ればどのドロップなのかがわかります。

ドロップが高い方が歩く時も走る時も足に対する負荷が和らぐので、長距離歩いても疲れません。ただ0MM DROPを履いてみると、その自然な歩き心地を気に入る人も多いはず。0MM DROPの靴を履くと、足首をより一層深く動かす事になりふくらはぎに負担が掛かりますが、バランスの良い自然な態勢で歩くことが出来ます。記録を追いかけるのでは無く体をバランス良く鍛えたい人には0MM DROPの靴でのウォーキングはお勧めです。

そして、それぞれのシリーズにどういうフィットとドロップの商品が準備されているかを整理したのが下の表。商品によって準備されているフィットが全く違うのがわかると思います。

私は日本人の中でも甲高幅広の足をしていますが、フィット3だったら靴によって合う靴もあるけど合わない靴もある、フィット4だとぴったり、フィット5だと足のつま先部分がゆったりとして指が広がるような快適さを感じるという感じです。

Inov-8の靴の選び方

ウォーキングやランニングに使える靴はどれ?

13種類あるInov-8の靴のうち、特殊用途のOrocとFastlift(上の表の赤文字)以外の商品は、通常のウォーキングやランニングで使っても問題なく使えます

その中でもお勧めは、RocliteからBare-XF(上の表の緑文字)までの靴。街中で履いても違和感が無く、ウォーキングやランニングで快適に使えます色々なフィットとドロップのタイプがあるので、自分に一番しっくりと来るものを選ぶと良いでしょう。

靴底がサッカーのスパイクのようにごつごつした、ぬかるみや湿った山野でも走れるMudclowやX-Talon(上の表の青文字)も、アウトソールが柔らかいので固いアスファルトの上でもしっかりと地面をつかんでくれます。サッカーのスパイクでアスファルトの上を歩くと滑って危険ですが、Inov-8の靴はぬかるみを走ると同時に山の岩の斜面も走る事が出来るようにできているので、固いアスファルトでもしっかりとグリップしてくれます。

日本では、過去のヒット商品の復刻版がNew Vintageというシリーズで発売されていますが、ブランドとのコラボ商品もあり街中でも使えるデザイン。RocliteとFlyrocシリーズのハイキングに最適の靴ですが、通常のRocliteより一つ幅が広いフィット4なので日本人の足にはぴったりです。(2020年6月現在、日本でのみの販売のようです。)

靴のサイズはいつも買う日本の靴よりは大きめの数字がお勧め。

少し気を付けないといけないのが靴の大きさ。Inov-8の靴の場合、通常日本で靴を買うときのサイズよりはワンサイズからツーサイズ大きい靴を選ぶと良いようです

DESCNTE STOREより

ホームページに載っている靴のサイズ表を載せました。例えば私は日本で靴を買うときは大体27センチから27.5センチのものを選ぶ事が多いのですが、Inov-8の場合はUKサイズの9インチが一番しっくりときますので上のサイズ表を見るとUK9インチは日本サイズの28センチになります。UKサイズと日本サイズの変換表はブランドによって若干違いがあるようで、同じUKサイズの9インチでもブランドによっては日本サイズは27センチから28センチまで色々と違う数字を使っているようですが、Inov-8の変換表は日本サイズが大きめの表示になっている(実際の靴は日本サイズ表示ほど大きく無い?)ように感じます。

Inov-8の靴はかかとからくるぶしの部分のホールド感がしっかりとしている為多少大き目のサイズの靴でも足が靴の中でずれる事無く快適に使えますので、ちょっと大きめサイズの靴を選んでも大丈夫だと思います。

男性用と女性用とユニセックスの靴のサイズ・フィットの違いは?

Inov-8のUKのホームページを見ると、男性用、女性用、ユニセックス用と靴が3つの種類に分かれています。男性用はUK 6インチから14インチ、女性用はUK3インチから8.5インチまでのサイズが準備されており、ユニセックス用だとUK3インチから14インチまで準備されている事が多いようです。この男性用・女性用・ユニセックスの差は、準備されているサイズのレンジの違いと色の違いだけで、靴の幅(フィット)はすべて同じ靴の同じサイズの物は男女共通ですので、女性でもサイズが合えば男性用の靴を選んでも全く問題はありません。前述の様にUK6インチは日本サイズでは25センチと表記されていますが、実際のサイズは24センチくらいですので、足の大きさが24センチくらいの女性でしたら、男性用からもお選びいただけます。

将来男性用・女性用の足型を変えようかという議論が私が居た当時もありましたが、現時点(2020年6月)発売されている商品は男性と女性の足型は共通です。踵からくるぶしの部分はしっかりとホールドしながらつま先部分を商品によって幅を変えるやり方をしているので、男女の差を付けてもあまり意味が無いと考えていたようです。男性用・女性用の表記は気にせず、自分に合うサイズと色で選んでもらえば問題ありません。

Inov-8の靴はどこで買える?

Inov-8の日本のホームページに日本で買えるお店のリストが載っています。実際に商品を試し履きしたかったらそれらの店に行く必要がありますが、Inov-8の靴はハイキング用途であったり、トレイニングジム用途であったり、ブランドとのコラボレーション商品であったりとかなり違う商品なので、それぞれのカテゴリーの専門店ではその一部しか扱っていない事が多いので、多くの商品を見ようと思うとデサントの直営店の渋谷にあるDESCENTE SHOP TOKYO目白にある DESCEMTE STORE 目白に行く必要があるでしょう。東京・横浜・名古屋・大阪・京都・福岡にあるDESCENTE BLANCも売れ筋の商品は置いてあると思います。デサントのオンラインストア、DESCENTE STOREに行けば、全ての商品が揃っているので、お店で自分の欲しい商品が無い場合でも、Inov-8の靴のサイズ感だけ確認できればオンラインで購入出来ます。
海外のお住まいの方は、Inov-8.comの中にお店の情報が載っているページがあるので、そこで国や地域の名前を入れれば店のリストが出てきます。ただ、こちらもそれほど多くの商品がお店には置いていないので、Inov-8.comのページから直接買った方が早いでしょう。全世界60か国向けには販売をしているので、大半の国はカバーされています
が、どの国に出荷できるかはこちらに情報が載っています

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。
特殊なスポーツ向けのトップアスリート向けの商品の様に受け止められるInov-8ですが、普通のおじさんが使ってもとても快適な商品です。女性向けのデザインもあるので、ウォーキングやハイキングが好きな女性にもお勧め。ただ機能が商品によって違うだけでなく、サイズやフィットもいろいろとあるので、靴を選ぶ時に必要な情報をまとめさせてもらいました。Inov-8の靴に興味を持っていただいた方にとってお役にたつ情報になっていれば幸いです。