イギリス湖水地方のウィンダミア湖の北にある街、アンブルサイド（Ambleside）はウィンダミア（Windermere）からバスで15分程で着く街です。素敵なホテルや質の高いレストランも多く、周辺にはハイキングコースも豊富な観光客が大勢集まる落ち着いた街です。この街を起点にハイキングやウォーキングを楽しむ人が大勢いますが、それらのコースの中でも特に人気なのがアンブルサイドから更に北にある街、グラスミア（Grasmere）までのフットパスのコース 。一方グラスミアは湖水地方を愛したイギリスの詩人、ワーズワースが最も愛したと言われるグラスミア湖の北にある小さな街です。『人が見出すことが出来る最も美しい街』とまで彼に評された街は、アンブルサイドほどは大きくはありせんが素敵な店が並んでいるとても綺麗な街 です。アンブルサイドから北に歩き、ライダルウォーターとグラスミア湖の脇を抜けてグラスミアに向かうルートは、湖の南を歩くルートと北を歩くルートがありますが、どちらも素晴らしい景観や歩くにつれ次々と変わっていく自然の風景が楽しめるとても素敵なコースです。
このアンブルサイドとグラスミアの間を歩くフットパスのコースは湖水地方でも一番の人気コースだと思います。湖水地方のフットパスはほとんどグーグルマップには載っていないのですが、このコースだけはグーグルマップの上でちゃんと載っています 。ここを大勢の方が歩くからでしょう。コースの途中の見どころも多く、何度歩いても飽きません。
ここでは、湖の南を歩くルート２つと北を歩くルート１つの３つのコースを紹介します。どのルートも2時間前後のちょっと長いウォーキングコースですが、道もそれほど険しくなく、多少雨が降っても問題なく歩けるコースですので、雨が多い湖水地方でも安心していつでも行くことが出来るコースです。
湖の南を歩くコースは見晴らしの良い山の中腹を歩くルートと気持ちの良い林の中を歩く湖沿いルートの２つ。
湖の南側にも色々なルートがあり、それぞれ全く違った表情を見せてくれますが、大きく分けると湖沿いを歩くか山を歩くかの２種類。山を歩く場合は標高340メートルほどの山の頂上を経由して行くルートもありますが、ここでは途中に大きな洞窟がある山の中腹を歩くコース を紹介しています。このルートは観光客が多いため、フットパスの目印もただの矢印だけでは無く行き先の場所の名前が載っており、グーグルマップでもちゃんとフットパスが載っているので安心して歩けます。私も一番好きなルートだったので、何度も歩いたコースです。秋の風景と初春の風景の写真を載せています。
ウォーキングコース概要
2時間前後で歩ける快適な中距離コース
アンブルサイドとグラスミアを結ぶルート
山の中腹ルート：全長8キロ、湖沿いルート：全長8.5キロ
山の中腹ルート：高低差 120メートル、湖沿いルート：高低差55メートル
上の地図の右上のマークをスマートフォンでタップすると、グーグルマップのアプリが開きます。グーグルマップの地図の上でウォーキングコースと自分の居る場所が見えますので、実際に現地に行ったときも迷わずコースに沿って歩けます。 （業務用のパソコンやスマホの場合、設定によっては地図が見えない事もありますのでご注意ください。）
コースの写真（山の中腹を歩くルート）
① アンブルサイドの街中からスタート。 ② 街の脇にある公園を抜け橋を超えたあと、しばらく川沿いを歩いていきます。 ③ 川を横切るフットパスがありますが、雨で川が増水しているので渡れませんでした。グラスミアへのフットパスは川を渡らなくて良いので、ここは気にせずまっすぐ川沿いを歩きます。 ④ 素敵なお宅が集まる一帯を抜けます。 ⑤ 同じ場所の秋の風景。秋の湖水地方は紅葉が見事です。 ⑥ 牧草地と一般道の間にある仕掛け。この道路にある隙間のため、車はここを通れますが羊は牧草地から外に出られません。 ⑦ しばらく歩くと山を登る道が始まります。苔むした石垣が見事です 。⑧ ライダルウォーターが見えてきました。ここから湖のすぐ近くを歩く道も選べますが、ここではまっすぐ斜面の上を進んでいきます。 ⑨ フットパスの途中に突然現れる洞窟、ライタルケーブ（Rydal Cave） この写真は秋に撮った写真です。 洞窟の中はこんな風景です。
⑩ しばらく歩くとグラスミア湖が見えてきます。写真をタッチして、パノラマ写真をお楽しみ下さい。
同じ場所からの秋の風景です。遠くの山の紅葉が綺麗です。 ⑪ このコースは足元が整備された道が多いですが、ところどころこういう岩の上を歩くので、滑りにくい靴で歩くほうが安心です。 ⑫ 苔むした林の中の道は、鳥の声で一杯です。 ⑫ 同じ場所の秋の風景。通路一面に敷きつめられた落ち葉と斜面を埋め尽くした苔の緑のコントラストが見事です。 ⑬ 湖沿いまで来ると、林の中に邸宅が見え始めます。 ⑭ グラスミアの街の外れにあるガーデニングショップ。中には広々としたカフェもあるので、長距離のウォーキングの後の休憩におすすめの場所です。 ⑮ グラスミアと言えばここ、というくらい有名なジンジャーブレッドの店。いつも行列が出来てます。 小さなお店の中はお客さんが３人も入れば一杯。ジンジャーブレッド以外にも色々売っていますが、個人的にはラムバターがお勧め です。癖が無くとても自然な味。湖水地方ではこの店以外で売っている店が無かったので、ここに来ないと買えないのかと思っていましたが、日本でもインターネット経由で買えるようですね。https://jp.grasmeregingerbread.com/
もし一つだけコースを選べと言われたら、私が選ぶのはこのコース です。山の中腹からの湖の見晴らし、突然現れる洞窟、林の中の小道、川沿いの気持ちの良い散歩道と湖水地方の良いところが全て楽しめます。
コースの写真（湖沿いを歩くルート）
⑧ 湖沿いを歩く場合は、ここで下の道に降りていきます。 ⑯ 林の中を歩きます。雨が降っていてもそれはそれで良い風情を感じます。 ⑰ ライダルウォーターとグラスミア湖の間の川沿いは両側どちらも歩けますが、ここでは橋を越えて逆側に渡ります。 ⑱ 川沿いの気持ちの良い散歩道 。道の脇には牧草地が広がっています。 ⑲ 川の対岸にも並行して散歩道が走っています。 ⑳ この橋を渡って川の南側に戻りました。このコースは本当に標識が親切です。 ㉑グラスミア湖からライダルウォーターへ流れ込む川はここから始まります。 しばらく湖沿いを歩いて行くとグラスミアに到着します。
この湖沿いのルートはアップダウンも多くなく、道も他のルートよりも歩きやすく整備されたところが多いので、多少距離は長いですが楽に歩けると思います。湖や川の近くの林の中を歩いていきますが、雨が降っていても苔むした林の中を歩くのはとても気持ちの良いものですので、このコースでしたら雨が降っている時でもウォーキングを楽しめる と思います。
湖の北側を歩くウォーキングコースは、途中にあるティールームで渓谷を見ながら一休み。
湖の北側のルートは、南側のルートより距離が短く歩きやすいルートです。途中でワーズワースが晩年住んだ屋敷の脇を通るルートですが、湖水地方を愛したワーズワースが晩年住むことを決めた場所というのが良くわかる、林と渓流、山と湖の風景が見事なウォーキングコース です。
コース概要
1時間半～2時間で歩ける中距離コース
アンブルサイドとグラスミアを結ぶルート
全長6キロ
高低差85メートル
コースの写真
① アンブルサイドの街中の建物の裏を流れる川です。周辺にはお店がたくさんあります。 ② しばらく車道の脇の歩道を歩くと、フットパスの入り口が見えてきます。 ③ 川の脇のなだらかな坂をしばらく上っていきます。 ④ 遠くに山が見える広々とした牧草地の中を歩いてちょっとづつ斜面を登っていきます。 ⑤山の林を抜けると突然出てくるライダル（Rydal）にあるThe Old School Room Tea Shopからの風景。ちょっとした食べ物を食べる事が出来るティーショップです。渓流の流れを見ながら散歩の途中に休憩するには最適の場所。ワーズワースが晩年を過ごした家もすぐ近くにあります。 同じ場所の秋の風景です。紅葉がきれいです。 ⑥ ライダルウォーターが見えてきました。しばらく山の中腹を横に歩いていきます。 ⑦ こちらもライダルウォーターを見下ろす風景。山の斜面 の 狭い道を歩いていきます。 ⑧ ここから山の方へ入ると標高900メートル弱の山へ向かう道を登る事も出来ますが、頂上まで3－4時間掛かります。 グラスミアへ行くのは山の中腹を横に歩いていきます。 ⑨ このルートでは割と早めに住宅地が見え始めます。 ⑩ グラスミアの街の入り口。この後5分くらい歩くと街の中心部です。 グラスミア・ジンジャー・ブレッドの店のすぐ裏にあるワーズワース・ダフォディル・ガーデン。ダフォディルとは水仙の意味ですが、湖水地方の初春は水仙が見事です。
こちらのコースの方が距離は短く途中の山の中のカフェで休憩も出来る のであまり長距離を歩く自信の無い方には良いかもしれません。ワーズワースが晩年を過ごしたライダルの一帯は林と渓流が綺麗な素敵な散歩道です。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。このルートは人気のルートなので湖水地方のガイドブックには必ず載っていると思いますので、それぞれのルートの違いをまとめてみました。時間があれば３つのルート全部歩いても損は無いコースです。